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パクリタキセルの投与間隔短縮により進行卵巣がんの生存期間延長

進行卵巣がんの標準治療であるパクリタキセルとカルボプラチンの3週ごと投与のレジメンのうち,パクリタキセルの投与間隔を週1回に短縮することで有意な生存期間の延長が得られることを示す日本での第III相オープン・ランダム化比較試験の結果が発表されました(Lancet 2009; 374: 1331-1338.)。

同試験には85施設が参加した。対象はステージII?IVの上皮性卵巣がん,卵管がん,原発性腹膜がんの計637例。パクリタキセル(180mg/m2)とカルボプラチン(血中濃度曲線下面積6mg/mL/分)を3週ごとに投与する標準治療群の320例と,カルボプラチンは3週ごとのままパクリタキセル(80mg/m2)を週1回投与するdose-dense治療群の317例に割り付け,3週1コースの治療を6コース施行しました。

主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)とし,intention-to-treat解析を行っています。

無増悪生存期間(PFS)は標準治療群の17.2か月に対 し,dose-dense群では28.0か月と有意な延長が認められたようです〔ハザード比(HR)0.71,P=0.0015〕。3年全生存率も標準治療群の 65.1%に対し,dose-dense治療群では72.1%と有意に高かったということです。(HR 0.75,P=0.03)。

パクリタキセルは、染色体の一部(マイクロチューブル)を障害することで、細胞分裂を妨害します。もちろん、骨髄や腸粘膜のように細胞分裂を頻繁に行う組織はダメージが強くなります。

Dose-dense治療群の165例と標準治療群の117例が早期に治療を中止。毒性による中止はdose-dense治療群のほうがやはり多かったようです(113例対69例)。高頻度に発現した有害事象は好中球減少で,dose-dense治療群の312例中286例(92%)と標準治療群の314 例中276例(88%)に認められています。グレード3と4の貧血はdose-dense治療群では214例(69%)と,標準治療群の137例(44%)に比べ有意に多かったということです(P<0.0001)。

主要評価項目が無増悪生存期間(PFS)ですが、たとえ卵巣がんの増悪がなくとも、10ヶ月ほど延長した生存期間の心身の状態はどうだったのでしょうか?

抗ガン剤の量を増やせば、癌の増殖を遅らせることができるのは当たり前で、その副作用を最小限にしながら生存期間が数ヶ月延長したことで人生の整理がつけられるのであれば、このような方法も希望される人がいるかも知れません。


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