更年期障害のエストロゲン補充療法：子宮摘出を受けた閉経後女性に対する短期使用で低い乳がん発症リスク

子宮摘出術を受けた閉経後女性のうち，エストロゲンを中央値で5年間使用した者では乳がん発症リスクが23％低下し，乳がんによる死亡リスクは63％低下したことが論文報告されました（Lancet Oncology（2012; 13: 476-486）。

子宮摘出術を受けた閉経後女性は，閉経後症状の緩和のために最長5年までの短期間，エストロゲンを使用しても，乳がんリスクが増大しないことが確認されたといいます。

しかし、エストロゲは脳卒中や血栓症リスクの上昇も認められていることから，乳がん予防薬として使用しないようにとしています。

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→女性健康イニシアチブ（WHI）試験の参加者を追跡調査したもの。同試験は慢性疾患に対する結合型ウマエストロゲンの効果を検討するため1993年に開始されたが，脳卒中と血栓症リスクが増大したため，予定より1年早い2004年に中止された。対象は子宮摘出術を受けた50〜79歳の閉経後女性1万739人で，エストロゲンあるいはプラセボが投与された。

今回の解析では，エストロゲンの短期使用が乳がん発症率と死亡率に及ぼす長期的な影響を検討するため，エストロゲン療法が中止されてから中央値で4.7年間追跡。WHI試験開始からの追跡期間は計11.8年であった。

追跡可能な7,472人（エストロゲン群3,699人，プラセボ群3,773人）のデータを解析した結果，エストロゲンを中央値で5.9年間服用していた女性の乳がん発症リスクはプラセボ群と比べて23％低いことが分かった（P＝0.02）。

また，エストロゲン群の乳がん死リスクは，プラセボ群と比べ63％低く，全死亡リスクも38％低かった。乳がんリスクの低下は，良性乳房疾患や乳がん家族歴のない女性で顕著に見られた。

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