若年女性の早発閉経リスク:子宮摘出で2倍近くに
子宮摘出術を受けた若年女性では,受けていない女性に比べ早発閉経リスクが2倍近く高くなることが論文発表されました(Obstetrics & Gynecology(2011; 118: 1271-1279)。
子宮摘出術は,子宮筋腫や機能性子宮出血を含む多くの疾患に対して行われています。
手術により卵巣への血流が損なわれることが早期の卵巣機能停止を招くとする説や,手術自体ではなく術前の基礎疾患が原因であるとする説がありますが,今のところ未解明であるとされています。
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→デューク大大学病院とダーラム地域病院から30~47歳の女性約900例を登録し,ベースライン時および年1回,血液検査と質問票によりデータを収集した。追跡期間は最長で5年間であった。そのうち465例が手術を受けていない健康対照で,406例が子宮摘出術(両側卵巣摘出例は除く)を受けていた。なお,今回の研究では血清中の卵胞刺激ホルモン(FSH)値が40IU/L以上となった場合を早発閉経と見なした。
子宮摘出術で卵巣を温存するのは,健康上の利点のあるホルモン産生を継続させるためである。同准教授は「排卵停止の要因が何であれ,早発閉経は骨粗鬆症や心疾患などのリスクを高める可能性があることは以前から指摘されていた」と説明している。
今回の研究で,子宮摘出術群では卵巣を温存したにもかかわらず14.8%が4年間の追跡期間中に閉経していたことが判明した。一方,対照群では8%であった。
早発閉経リスクが最も高かったのは子宮とともに片側の卵巣を摘出した例であったが,両側卵巣を温存した例でも高かった。また,子宮摘出術群では,対照群と比べて約2年早く閉経を迎えると推定された。
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