大豆イソフラボン錠剤服用：閉経後骨粗鬆症や更年期症状の予防効果認められず

閉経後5年以内の女性を対象としたランダム化比較試験を実施し，2年間の大豆イソフラボン錠剤服用による骨密度減少および更年期症状の予防効果は認められなかったという結果が報告されました（Archives of Internal Medicine 2011; 171: 1363-1369）。

閉経初期には急速な骨量の減少やホットフラッシュ，腟の乾燥，睡眠障害などの症状が起こりやすくなります。エストロゲン補充療法（ERT）は、女性健康イニシアチブ（WHI）の研究でリスクが便益を上回ることが示唆されています。そこで大豆イソフラボン錠剤に白羽の矢が立ったのですが、これも有意な効果が認められませんでした。イソフラボンはたしかにエストロゲン様の働きをしますが、単体の成分を用いた治療はこのように理屈どおりにはうまくいきません。

部分的にはうまくいくはずの理論でも、体全体では逆の結果が出ることもよくありますので、このような安易なアプローチはそろそろ限界と考えて欲しいものですね。

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→今回，閉経後女性を対象に，大豆由来のイソフラボン錠剤による骨密度減少および更年期症状に対する予防効果を明らかにするため，プラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験（The objective of the Soy Phytoestrogens As Replacement Estrogen；SPARE）を実施しました。

対象は2004年6月〜09年3月に登録された45〜60歳で，閉経後1〜5年以内の女性248例。122例を大豆イソフラボン錠剤投与（200mg/日）群に，126例をプラセボ群にランダムに割り付けた。有効量を確実に投与するため，大豆イソフラボン群には典型的なアジアの食事による最高摂取量の約2倍に相当する大豆イソフラボンを投与した。

その結果，試験開始から2年時点で両群の骨密度減少率に有意差は認められなかった（脊椎−2.0％対−2.3％，大腿骨近位部全体−1.2％対−1.4％，大腿骨頸部−2.2％対−2.1％）。

更年期症状については，プラセボ群に比べて大豆イソフラボン群ではホットフラッシュ（31.7％対48.4％）および便秘（20.6％対31.2％）が有意に多かった。それ以外の症状については，両群間に有意差は認められなかった。

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