更年期女性のホットフラッシュにescitalopramが有効

更年期障害のホットフラッシュ症状（のぼせ、ほてり）の改善に選択的セロトニン再取り込み阻害薬のescitalopramが有効であることを示すデータが、発表されました（Freeman EW, et al. JAMA 2011; 305: 267-274.）。

エストロゲンとプロゲステロンのホルモン療法に関係する乳がんや血管病変リスクへの懸念から更年期症状に対する使用が減っています。今回、ホットフラッシュに対するescitalopramの有効性と忍容性を検討するランダム化比較試験を行われました。

対象は205例の更年期女性で、escitalopram10〜20mg/日またはプラセボを8週間投与されました。主要エンドポイントは、日誌により評価したホットフラッシュの頻度と重症度の変化とされました。

登録時の1日のホットフラッシュの頻度は平均9.78回でした。全参加者を対象とした解析の結果、治療8週目の1日当たりのホットフラッシュの頻度の減少はプラセボ群の3.20回に対し、escitalopram群では4.60回と有意に大きかった（差1.41回、P＜0.001）。また、8週目にホットフラッシュの頻度が50％以上減少した女性の割合はプラセボ群の36％に対し、escitalopram群では55％と有意に多かったという結果でした（P＝0.009）。

さらに、ホットフラッシュの重症度スコアの低下もescitalopram群で有意に大きかったようです（−0.52対−0.30、P＜0.001）。

有害事象による中止は全体で4％でした（escitalopram群7例、プラセボ群2例）。ただし、治療終了3週間後、プラセボ群と比べescitalopram群では1日当たりのホットフラッシュの頻度が平均1.59回多かったいう結果も出ていますので、ただちに更年期障害のホットフラッシュ症状の改善に選択的セロトニン再取り込み阻害薬の投薬が利益があるとは言い難いと考えます。

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