更年期障害に対するホルモン補充療法のリスクは考えられていた以上に高い
ホルモン補充療法(HRT)を長期間使用すると、 乳癌(がん)リスクが増大するだけでなく、浸潤性乳癌リスクおよび死亡率さえ増大することが明らかにされました(JAMA10月20日号)。
これまでの観察研究で示されていた乳癌リスクは侵襲性の低い治療可能な腫瘍のみであったのに対し、今回の研究では、初めて死亡率の増大が認められ ました。今回の研究では、計11年間の追跡の結果、エストロゲン・プロゲスチン併用HRTを受ける女性では、プラセボ(偽薬)群に比べ浸潤性乳癌の比率が25%高く、リンパ節に拡大する癌の比率が78%高いほか、乳癌による死亡率がほぼ2倍であることが判明。また、プラセボ群に比べて、乳癌診断後の全死因による死亡率が57%高いこともわかりました。
今回の結果は、エストロゲン・プロゲスチン併用療法にのみ当てはまり、エストロゲン単独使用には当てはまらないとしていますが、更年期症状に対するホルモン補充療法(HRT)の使用について乳癌の発症は深刻な問題であり、更年期障害の症状の緩和とは引き合わないことは明らかです。
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